「ちょうどいい」をさがす

自律神経失調症で繊細な専業主婦させていただいております

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小さくなる母の変わらない大きなもの

 私には80代前半の母がいます。

脳梗塞2度、脳出血1度の母

 今日は母のことを書こうと思います。

 うちの母は60を過ぎたころから高血圧ゆえの脳梗塞を2回、脳出血を1回しているのですが健在です。さすがに無傷とはいかず、ほんのりしびれや動きづらさを手足、ろれつに残していますので家の中を伝い歩きしてゆっくり動くのが精いっぱい。耳もだいぶ遠いのでこちらの話は時々スルーされますが、そのほかは健康でご飯もおやつも少量になったけどおいしく食べているようです。

 父は先に亡くなりましたが、私以外の子供がまだ一緒に住んでくれているので家族のご飯を台所に立って毎日作ったり、洗濯物をえっちらおっちら干したり。リハビリを受けながら身の回りのことは全部やって生活をしております。もともと手は右も左も使える”両刀使い”だったので右がだめになってもどこ吹く風。それもすごいんですが。小さいころから私は母を不思議な感覚で見てました。

この強靭さはどこからくるんやろ?

 

 

 

 昔の人の「強さ」と「弱さ」

 体の強さではなく、心の強さ。でも決して「気が強い」というわけではないのです。

働きに出ても、友人ができてもみんなに慕われているし。とにかく「ブレなささ」がすごいのです。そして弱音を吐かない、泣き言を言わないのです。「言ってどうなるっていうの?」っていう感じです。時々、その弱音を吐かない感じがちょっとおかしく反応に出ることもあります。 

  例えば、家族が急に様子がおかしくなって困った時もいたって普通。もちろん多少慌てていて血圧も上がってるし困惑もしてるんだけど弱くはない。なんなら笑みさえこぼれる。こっちがおもわず「え?この状況で笑ってんで?」と突っ込みたくなるくらい。「しゃあないなあ~」って空気感。無意識にそうやって自分を落ち着けていたのだと、今は思います。母も母でちゃんと弱くって、自然と出てしまう彼女の心の防御システムだったのかもしれません。でも、それって周囲にとっては非常に助かることで。とくに子供の時は見たままが全てですから「お母さんは慌ててない」と思ったらとても心丈夫でした。

すべてを楽しむ心とあきらめの悪さ(いい意味で)

 母のポジティブさは笑顔にも出ます。もう背骨も曲がって、ボリュームのあった体はすっかり小さくなった今もよく笑っています。たまにわかってないことにも笑ってます。

「え、今何言うたか聞こえてた?」と時々確認すると

「ん?わからん。でもあんたの話してる顔見てたら面白かった」とか言います。失礼やな。

 先日、実家に帰った時さんざん近況を話した後、私が夕食用におかずを作って帰ってあげようと台所に立っていた時のことです。背中を向けてしばらく会話はなかったはずなのに(よくあることなのですが)突然、どこかから続いてんのか?と思うようなタイミングで話が始まります。本人の中では自然につながってるんでしょうね。

「あのな、シナプスってまたつながるんやって。」

「?何の話や。」

「切れたり、なくなっても突然修復されることもあるんやって」

どうも脳の神経伝達の話をしたいらしい。言いたいことをなんとかくみ取りつつ話を合わせていると

「明日、朝起きたらすたすた~って歩いてるかもしれんで」

「誰が?どういうこと?…何、<シナプスはある日突然つながる>って話をどこかで聞いて『私のも急につながるかも!』って期待してるって話?」

「うん!そう!」

その時のキラキラの顔を見て、なんかうまく言えませんが「ストン」と落ちた。というか母の本質を見たというか。そんな気分になりました。

「なんや、まだあきらめてへんのかwww」

「あきらめてへん」そういってケタケタ笑っておられました。あ~、これなんだなぁ。母の中でずっと変わらない大きなもの。<あきらめてない>何一つ。理屈でも、無理やりでもなく本当に心から<あきらめてない>

 なんかこの先、少しずつできないことが増えていくのかもしれないけどぎりぎりまでこの人は大丈夫だ。そんな気持ちになりました。別に娘を安心させるために行ってる風でもない。本人が楽しそうに言うので。

 自分の家に帰って、同年代の友人にこの話をしたら

「ちゃんと娘もDNA引き継いでるやん」と言ってくれたけど、ぜんぜん!ネガティブの塊ですよ私は!どちらかというと父の色が濃いのです。

でもあの鬼ポジティブな母のDNAも何パーセントか絶対混じってると思うとそれだけでなんか無敵な気がしてきた。

 小さい母はまだいろんな秘密兵器を隠していそうなので…また帰ろう。